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隣町の住宅街にとても雰囲気のある蕎麦屋がある。 時々、夕方の五時頃にそこに思い出したように蕎麦を食べに行く。 ほとんど道楽商売のようで客はいつもあまりいない。 天井のJBLのスピーカーからは小さな音でJAZZが流れていて、 店内はご主人のこだわりが随所に散りばめられている。 一枚板のテーブルで蕎麦が出てくるのを待ちながら、突き出しの 蕎麦のフライをお菓子がわりに、黙ってお茶を飲み、その不思議に 整然とした小さな世界の中で蕎麦を待つ。 誰かの頭の中身みたいに、その小さな空間はご主人の好きな世界観 が見事に体現されていて、その居心地の良さの中で僕はぼんやり 蕎麦を待つのが好きだ。 そして蕎麦は奇跡みたいに美味い。 計算しつくされたような、その完全な職人芸に僕はいつも満足して 帰ってくる。
by waterkey
| 2008-06-22 15:36
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