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雨待ち
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1つの風景。1つのなんてことのない風景に連れ去られて、ふと
懐かしい場所へと流されてゆくように、いつも何かを思い出す。
きっと、年を取った人だけが風景に何かを感じ、見取るわけではない。

10年前の僕も、例えばカメラの中心に据えた被写体だけを見ていたわけではなかった。
被写体の向こう側も僕は見ていたわけだが、気づいていなかっただけだ。

目を閉じると僕はそこへとワープする。静かに、空間移動する。
その頃、僕が見ていた中心部から少しずれた位置にあるものや、ぼやけた背景が鮮明に
色づいてゆく。
心の中でそれにそっと光を与え、そっとピントを合わせる。

そして、風景は別の風景を呼んで来る。
僕はコートの中のポケットへ凍えた指先を突っ込む。
僕はいま、いるこの風景をまた何年も経って思い出すことになるだろう。

そして、不思議なことに主題であった被写体は時を経て、溶けてゆくように失われてゆく。
いつもそうだ。
でも、どうして、そういうことが起こるのか僕は分からない。
雨の中、立ち止まって、僕はそのことについて考え続ける。

列車がやってきて乗客を乗せて、走り去った後も僕はずっと考えている。
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by waterkey | 2006-11-19 17:09 | SNAP



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